ボールは速いのに、脳の処理はゆっくり

昨日に引き続き、視覚情報の処理についてもう少し書いておきます。


目から入った情報は、脳の中で主に2つの道すじに分かれて処理されています。その一つが、物がどこにあるか、またどのように動いているかを調べる「背側経路」です。背側経路は後頭葉の第一次視覚野から出発して、頭頂葉の上部に向かいます(一部は前頭葉にも向かうそうです)。

赤い矢印が背側経路



背側経路がうまく働くことで、私たちは飛んでくるボールの速さや方向を理解し、体を動かしてキャッチすることができます。お子さんの場合、この経路が発達することで、運動能力や空間認識能力が向上していきます。


スポーツなどで特に実感できることですが、速いボールに対応したり、周囲の動きに合わせて即座に自分の動きを切り替えたりすることは、小学生でもまだ難しいことが多いです。

 

なぜなら、この背側経路の成熟には思春期後期まで時間がかかるからです。こどもがスポーツなどを練習しているなら、「今、背側ルートを育てている途中なんだなぁ」と考えてみてください。急いで負荷をかけすぎず、楽しくスモールステップで進めることをおすすめします。