記憶の力を使う前提
乳児の時の記憶を持っている人は少ないと思います。記憶(特に新しいことを覚える働き)に関わっているのが、大脳辺縁系にある海馬です。
たとえば、教えてもらったことを覚えたり、友達との楽しい思い出を記憶に残したりするとき、海馬が活発に働きます。記憶が定着してくると、思い出すときに海馬の活動量も少なくなります(代わりに大脳皮質が働いています)。
しかし、生後数年間は海馬がまだ成熟しておらず、この記憶機能がうまく使えません。これがいわゆる「ものごころがつく前」ということになります。

ここからはあまり知らない方も多いかもしれませんが、海馬は他の脳部位と連携して(扁桃体を中心とした)情動調整やストレス反応、(視床下部を中心とした)自律神経の調整などにも働いています。ものごころがつく前の海馬では、こちらの機能を中心に使っていると考えられています。
このような海馬の働きを知ると、(成人であっても)気持ちが落ち着かない時や、睡眠不足が海馬の働きに影響することが納得できるのではないでしょうか。
子どもの記憶力をしっかり機能させるためには、家の中や園などで、安心できる場所や人がいることがとても大切です。また、夜にぐっすり眠ることも欠かせません。