道具を使いこなすまで
子どもがスプーンやフォークを使い始めた頃、食べ物をうまくすくえずに見ている側がハラハラすることがあります。それが時間が経つと多くの場合、まるで自分の手の一部のように巧みに使いこなすようになります。この驚くべき成長の背景には、頭頂葉にある下頭頂小葉という脳の領域が深く関わっています。
掃除機、枝切ばさみなど…私たちは生活の中で、道具を使用して身体では届かないはずの場所に働きかけることがあります。そのような時、脳はこの道具を身体の延長として捉えているようです。車を運転するときも同じです。普段自分が歩く幅よりも広い車幅を、まるで自分の体の一部のように感じて運転しています。小さい頃にあこがれた大きなロボットも、乗ってみるとそのような物なのかもしれませんね。

下頭頂小葉では、道具の形や重さ、使い方を理解し、それを自分の体の動きとスムーズに結びつける役割を担っています。道具の使い始めや複雑な使用ではこの脳部位が活発に働くことで「道具の使い方」の計画を丁寧に立てます。練習を重ねるうちに、丁寧に計画しなくても道具を上手に使えるようになります。そうなると下頭頂小葉の働きはだんだん小さくなり、代わりに自動化を担当する小脳の活動が活発になります。
下頭頂小葉は、まるで超一流の企業戦士みたいなものかもしれません。会社として初めての案件を担当し、仕事が安定して自動化できるようになると、その仕事は後進に渡して自分は新しい案件に向かう。そんな頭の切れる有能な存在なのです。